はじめに
現代のデジタルマーケティングでは、顧客に対する正確な分析とターゲティングが不可欠です。
そのため、顧客データを統合管理するCDP(Customer Data Platform)の必要性は高まっています。
この記事では、CDPの重要性と直近で主流となってきている考え方について説明します。
CDPが重要性を増している背景
以下3つの理由に整理できます。
①カスタマージャーニーの複雑化
現代のマーケティングにおいては、カスタマージャーニーが複雑化しています。
複数のチャネルを横断し、オンラインとオフラインを行き来する消費者が増えているため、企業は顧客データを一元化する必要があります。CDPを活用することで、顧客データを一元化し、カスタマージャーニーの改善に役立てることができます。
②商品の同質化
商品の同質化が進む現代においては、企業は商品だけでなく、カスタマーエクスペリエンスを提供することが求められます。CDPを活用することで、顧客データを正確に収集し、より良いカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。顧客エクスペリエンスの向上により、企業は顧客ロイヤルティを向上させることができます。
③データプライバシーの法律の変更
近年、データプライバシーに関する法律の変更が相次いでいます。例えば、GDPR(General Data Protection Regulation)の導入により、企業は顧客データの収集・保管・使用に関して厳格な規制を受けるようになりました。
その中の一つに、これまでのウェブマーケティングにおいて主流だったユーザーの識別方法であるCookieなど、オンラインでの個人データの収集・保管・使用について、ユーザーの同意が必要であると定めており、大きな波紋を呼びました。また、米国においても、CCPA(California Consumer Privacy Act)やCPRA(California Privacy Rights Act)といった州レベルの法律が導入され、より厳格なデータプライバシー保護が求められるようになっています。つまり、企業はより厳密なデータ管理を求められるようになり、セキュアなデータプラットフォームの必要性が増してきています。
CDPを活用できない企業の実態
上記のように、CDPを使った顧客データの統合管理は重要性を増している一方で
実際に、これらのデータを正しく収集しアクションの実行までできていない企業が多く見られます。
その理由としては、CDPサービスの導入~活用までを企業のマーケティング部が担当することが多い一方で
データをどのように収集して、どのように分析し、アクションに繋げるかまでを考えられる人材がマーケティング部にいないケースが多いことが挙げられます。
前回の記事で紹介したようなCDPツールのサービスも、複雑な設定を行わずに使用できるようパッケージ化されているものの、アクションの策定・実行にはMA(Marketing Automation)ツールやBI(Business Intelligence)と連携させることが多く、上記の知見のある人材の不足によって高額な使用料を払っているがうまく活用できていない企業が散見されます。
CDP市場のトレンドと今後の展望
直近のCDPツールの利活用としては、使用料のかかるパッケージサービスではなく
インフラエンジニアやデータサイエンティストなどの専門人材を採用し、拡張性の高いGCP(※1)で代替する方が良いとする考え方がトレンドとなってきています。
GCPのサービスが拡張された現在、CDPの構築に必要な機能をカバーできており
パッケージサービスにかかるコストをCDP基板の開発に充てるほうが、コスト、パフォーマンスの両面で効果的なケースが多いためです。
上記の背景として、GA4の登場によりBigQueryとの連携ハードルが低下したことも大きく影響しています。
GA4の旧バージョンであるUAでは連携ができず、有料版のGA360でのみ連携可能でした。
GA360は月間のヒット数に応じて料金が段階的に課金される体系となっており、最低でも130万円/月と費用が高額なため導入できる企業は限られていました。
一方、GA4では無料でBigQueryと連携できるようになったため、高機能且つ低コストなCDPが構築可能になりました。
また、AWS(※2)を導入している企業の場合もGCPとの併用をするケースも増えてきています。
※1 GCP:Google Cloud Platform の略で、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称
※2 AWS:Amazonが提供している100以上のクラウドコンピューティングサービスの総称
まとめ
CDPはデジタルマーケティングにおいて、顧客データを統合管理するための最重要ツールの一つであるといえます。
しかし、実態としては導入はしたもののうまく活用できていない企業が多く、また新たなツールの登場によって
日々トレンドは移り変わっています。
まずはそれぞれの機能を理解したうえで、自社の目的に合った方法が何か理解し導入を検討してみてください。