創業60年、「さぁ、仕掛けよう。」へ。CAC Holdingsが経営企画機能を“外から補った”理由

お客様プロフィール

株式会社CAC Holdings
URL:https://www.cac-holdings.com
企業規模:東証プライム上場(証券コード:4725)/1966年創業のCACグループ持株会社
業種:情報サービス業(システム開発・運用、BPO、自社プロダクト&サービス)
担当者:執行役員 経営統括本部長 兼 経営企画部長 兼 CFO(Chief Financial Officer) 神子田 達雄
1966年に独立系ソフトウェア専門会社として創業し、2026年8月に60周年を迎えたCACグループ。同社は「CAC Vision 2030」のもと、自ら社会や顧客の課題を捉えて価値を生み出す企業グループへの転換を進めている。
その節目に掲げたグループ共通メッセージが「さぁ、仕掛けよう。」である。CFO 神子田氏が目指すのは、挑戦が組織の中から生まれる状態をつくることである。
そのために進めてきた一つが、経営企画・管理部門の変革だった。CAC Holdings(以下、ホールディングス)は、外部パートナーを取り込み、経営企画機能を補う選択をした。神子田氏と、支援にあたったクオンティアのCSO 塚本、シニアコンサルタント 竹内が振り返る。
60年の成長を支えた受託型ビジネスと、管理プロセスの複雑化
CACグループは1966年、独立系のソフトウェア専門会社として創業した。以来、企業向けシステム開発を中心に事業を拡大し、アウトソーシング、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、グローバル展開、AI研究開発へと取り組みを重ねてきた。
顧客から依頼されたものに、高い品質で確実に応える。この仕事の進め方が長く成長を支えてきた。一方、変化の速度が求められる局面では、慎重な意思決定と多層的な確認プロセスが、変革を前へ進めるうえでの重しにもなっていた。
神子田氏 「お客様から発注を継続いただければいいですが、無くなれば事業危機という世界です。ずっと同じ仕事ばかりやっていたら、自分たちの成長もない。だから、自ら社会やお客様の課題を能動的に解決していかなければいけない、と思っています」
管理機能で認識していた、3つの課題
経営企画・管理部門の変革を進めるにあたり、ホールディングスが向き合う必要があったのは、主に3つの課題だった。
- 丁寧で確実という文化と、変化のスピードの両立
- 手堅いプロセスと、成長に比例しない体制づくりの両立
- 紙・Excel中心の業務から、デジタル・AI中心の業務への転換
これらは独立した問題ではなく、相互に絡み合いながら、経営企画・管理部門が解決すべきテーマとして浮かび上がっていた。
丁寧で確実という文化と、変化のスピードの両立
丁寧で確実な仕事を重視する文化は、同社の明確な強みである。一方、会社や事業を大きく変える局面では、確実性を重視する姿勢と、意思決定・実行のスピードを両立する必要があった。
手堅いプロセスと、成長に比例しない体制づくりの両立
業務プロセスや確認フローを見直し、事業成長に比例して管理部門の規模を拡大しなくても、グループ全体を支えられる状態をつくることが求められていた。
紙・Excel中心の業務から、デジタル・AI中心の業務への転換
紙やExcelを前提とした業務を見直し、デジタルツールやAIを活用して、少人数でも高い生産性を実現する必要があった。ただし、ツールの導入だけでは変革は進まない。ツールを使い、変革を推進するリーダーと組織のあり方も同時に変える必要があった。
なぜ、外部の力を活用したのか

CAC Vision 2030の実現に向け、期限のある変革テーマを着実に前へ進める必要があった。社内での採用や育成だけでは必要な人材を短期間で確保することが難しいため、ホールディングスは、外部の専門人材を取り込んで経営企画機能を補い、社内の推進力を高める方針を選んだ。
求めていたのは、構想や提案を示して終わるコンサルタントではない。社内メンバーとともに手を動かし、実装まで進める存在だった。
神子田氏 「机上の提案はいりません。本当に手を動かしてくれて、毎日一緒に進めてくれるコンサルタントと仕事をしたいと思っていました。最初のプロジェクトで、それが本当に実感できた。だから次のテーマもお願いしました」
3つの変革テーマと、6つの取り組み
約1年間の支援は、大きく「会社立ち上げ支援」「管理部門変革」「研究開発マネジメント」の3つのテーマに整理できる。その中で、合計6つの取り組みを進めた。
本事例における「経営企画機能」とは、戦略や制度を構想するだけでなく、部門横断の課題を構造化し、関係者を巻き込みながら実装まで進める機能を指す。

【深掘り1】会社立ち上げを再計画し、設立まで推進

1年間で支援した会社立ち上げは2件ある。1つはグループで新規事業を推進できる体制づくりを目的とした法人設立、もう1つは協業事業を進めやすくするための法人設立である。いずれも設立目標日を定めてプロジェクトが始まっていたが、多様な関係者との丁寧な合意形成に必要以上に時間を要する場面もあり、クオンティアがプロジェクト推進を支援することになった。
本来であれば、社内の当事者が主体となって進めるべきだという思いもあり、神子田氏には外部へ支援を依頼することへの葛藤があった。それでも、設立を確実に前へ進めることを優先し、外部のプロフェッショナルの力を借りる判断を下した。
竹内が最初に行ったのは、状況の分解だった。着手後すぐにプロジェクトへ入り込み、大きな塊のまま置かれていたタスクを細分化したうえで、誰が、何を、いつまでに行うのかを明確にした。
週2回という頻度には意図があった。週次で確認するだけではなく、より細かな粒度で現状を把握し、遅れを早い段階で捉えるためである。
当初のタイムラインは、タスクの粒度が粗かったため、リスクや必要事項が十分に見えておらず、実行可能性に課題があった。そこで必要事項を洗い出し、各担当者と確認しながら、現実的なスケジュールへ再設計した。社内の関係部門と役割・期限について合意を形成し、設立までのプロセスを前へ進めた。
外部のコンサルタントとして距離を置くのではなく、PMとして達成に向き合う姿勢。それが、クオンティアの実行価値として表れた支援だった。
【深掘り2】ゲートの構想を具体的な仕組みへ。次は運用と定着
研究開発テーマ選定ゲートは、研究開発への投資が将来の事業成果に見合うかを判断し、そのプロセスを管理するための仕組みである。構想自体は存在していたものの、具体的な審査手順や運用方法まで落とし込まれておらず、仕組みとして運用できてはいなかった。
構想を進めていた部門だけでは具体化が難しく、経営企画側が介在する形で、クオンティアが制度設計を支援することになった。依頼から制度設計の完了までは、およそ2か月だった。
設計で特に重視したのは、事業成果への接続と現場の運用負荷である。研究開発部門へのヒアリングを通じて、最新技術テーマの検討から事業化判断までの流れを確認し、関係者の意見を反映しながら、評価基準、審査手順、フォーマットを繰り返し更新した。単に運用ガイドラインを作成して渡すのではなく、運用負荷を抑えるために生成AIの活用も視野に入れ、実際に継続して運用できるレベルまでプロセスを調整した。
制度設計は完了した。一方、仕組みをつくった後の運用定着には課題が残った。外部が運用まで担えば短期的には前へ進むが、支援を続けすぎれば、社内のオーナーシップが育ちにくくなる可能性がある。
制度設計と運用定着は別の課題である。外部と社内の役割をどこで分けるか、社内リーダーがどの段階から責任を持つか。この取り組みは、外部活用の価値と限界の双方を示す事例となった。
【深掘り3】管理部門変革の土台を強化。整理で終わらず、実装可能性まで検証
管理部門の統合に向け、ホールディングスと事業会社に分かれていた業務機能を見直す必要があった。クオンティアが担当したのは、経理財務、マーケティング・広報、総務・庶務の3領域である。
各領域で、業務機能の目的、役割と責任を明確にしたうえで、現況業務のフローと工数を概算し、見える化した。単に業務一覧を作成するのではなく、重複、属人化、移管可能性、月内の負荷構造まで確認し、現場を巻き込みながら削除・効率化・移管の可能性を検討した。
「業務棚卸し」という名称で進んだものの、その実態は、業務をただ洗い出して減らすのではなく、組織の役割と体制を見直す変革だった。
工数単位で洗い出した業務評価表をもとに、①現状維持可能、②業務自体を削除可能、③業務効率化が必要、④別部門や外部への切り出しが適切、という4つの観点で現場とともに評価した。その結果、3領域では平均約30%の削減項目余地が診断され、ある部門では工数ベースで40%以上の見直し余地が示された。
※数値は業務棚卸し時点の診断・試算値であり、実際の削減実績ではない。
そこで竹内が追加的に行ったのが、効率化・移管対象とした業務について、生成AIとデジタル活用でどこまで効率化できるかを洗い出すことだった。これは、ホールディングスから依頼された範囲を超えて、クオンティア側から追加で実施した取り組みだった。
竹内と生成AIコンサルタントは約1週間現場で業務を確認し、3つの業務を生成AIで代替することで、工数削減や効率化が机上の試算ではなく実装可能であることまで検証した。その実証結果をもとに、対象業務の効率化評価と生成AIによる実装方法を再評価し、最終成果物として提出した。
削減余地、効率化方法、新たな体制の方向性を示すところまで進めたが、これらはあくまで変革の土台である。領域ごとに進捗には濃淡があり、業務移管、体制変更、AI活用を実装し、定着させる取り組みはこれからも続く。
クオンティアの関わり方 ― 経営と現場、両方を見る

現場メンバーと一緒に手を動かしながら、発注者が実現したい変革を経営の視点から考え続ける。現場の実態と経営の目的の双方を行き来することで、個別業務の改善に終わらず、組織全体の変革へ接続することを重視した。
また、社内の関係性の中では指摘しにくい課題についても、他社の一般的な考え方やベンチマークを示し、受け止めやすい形に整えて伝えた。外部の客観性を、単なる批判ではなく、対話と意思決定を前へ進めるために活用した。
外部パートナーを機能させる条件と、社内に残すべき責任
外部パートナーを機能させる鍵は、発注側のオーナーシップにある。発注側の決裁者が変革の目的と優先順位を明確に共有し、必要な部門や担当者との調整を後押しする。さらに、判断が必要な場面で意思決定を停滞させないことで、外部パートナーは個別作業に閉じず、経営視点でプロジェクトを推進できる。
一方、重要な意思決定や社内への説明、制度の日常運用、成果を定着させる責任は、発注企業の社内リーダーに残す必要がある。外部パートナーは実行力と客観性を補えるが、社内のリーダーを恒久的に代替するものではない。
1年間で得られた成果と、残された課題
会社立ち上げ、研究開発ゲート、管理部門等の業務再構築支援は、いずれも次の成長を支える基盤だった。推進に課題を抱えていたテーマの問題点を構造化し、会社設立、制度設計、業務再構築のそれぞれを次の実行段階へ進めたことが、この1年間の成果である。
一方、制度や体制を整えることがゴールではない。実際の業務で運用し、組織へ定着させ、事業成果につなげていく取り組みはこれからも続く。完了したもの、実装中のもの、試行を続けるものを区別しながら、次の変革へつなげていく必要がある。
CAC Vision 2030の実現に向け、次に取り組むこと
コーポレート部門のAI活用
業務ごとにAIの活用可能性を整理し、ツールを導入する段階から、実際の業務で活用して生産性向上へつなげる段階へ進む。
ヘッドクオーター機能の統合
ホールディングスと事業会社各社それぞれに存在していた管理機能を、グループ全体の成長を支えるヘッドクオーター機能として再構築し、部門や会社をまたぐ施策を推進できる体制を整える。
人材とリーダーの変革
制度やツールを実際に動かし、変革を継続できる社内リーダーを育成する。仕組みの整備と並行して、組織を動かす人材の変革にも取り組む。
経営企画機能を「外から補う」という選択
ホールディングスにとってこの1年は、経営企画機能を外部へ委託した期間ではない。社内だけでは足りなかった実行力を、外部リソースを取り込むことで補い、経営企画機能を強化した期間だった。
クオンティアは、外部パートナーでありながら、経営企画機能の一員のように現場へ入り込み、経営と現場の双方を見ながら、変革の実行に深く関与した。
限られた体制で管理機能を見直したい。構想はあるものの、実行段階で止まっている。そのような課題をお持ちの場合は、ぜひクオンティアのお問い合わせページからご相談ください。
AUTHOR

塚本 貴映
CSO
カナダの名門大学卒業後、医療機器メーカー、コンサルティングファーム、外資製薬メーカーを経て現職。戦略コンサルタントとして大企業からスタートアップまで幅広い事業開発を推進し、構想策定から開発・ローンチまで一気通貫で支援。多業界・多国籍プロジェクトのPM経験を活かし、経営課題の解決と新たな価値創出に強みを持つ。

竹内 元基
シニアコンサルタント
横浜国立大学大学院卒業後、ライズコンサルティング等複数社を経て現職。顧客接点領域の業務改善やシステム導入支援、PMO業務に従事。業務課題の整理、RFP策定、要件定義から導入・運用までを経験。また、大規模システム刷新PJのPMOとして、テスト進捗管理や課題対応、ベンダー調整を推進した経験を有する。業務・IT両面における理解を活かし、上流から下流まで一貫した支援が可能。