Quontier(クオンティア)| 総合コンサルティングファーム

AI×コンサルティングで企業課題の解決はどう変わるか②―AIヒアリング×組織再編オファリングの設計思想と、戦略実行まで担う経営企画パートナー

AI×コンサルティングで企業課題の解決はどう変わるか②―AIヒアリング×組織再編オファリングの設計思想と、戦略実行まで担う経営企画パートナー

組織再編において、トップダウン設計と現場の実態把握を同一期間・同一コストで両立することは、長らく構造的な難題だった。本シリーズ第一回では、その構造的課題を整理した。本稿では、AIヒアリング・エージェント「InTake」を開発したAsterminds株式会社 代表取締役・本多真二郎氏の言葉を交えながら、AI×コンサルティングにより実現する組織再編オファリングを紐解く。本多氏はInTakeで数千名規模のヒアリング実績を持ち、独自技術は特許出願済(特願2025-166265)。シードラウンドで1.1億円を調達し、2025年のVercel AI Acceleratorには日本企業として唯一選出されている。クオンティアとAstermindsで描くこのオファリングはどのような課題設定から生まれ、何を実現するのか。そしてTo-Be像を描いた先に待つ「実行のギャップ」にどう向き合うのか。

「戦略は描けた。それなのに、なぜ実行で止まるのか」

経営において、この問いは普遍的だ。PMI(Project Management Institute)の調査によれば、戦略実行のギャップに苦戦している経営幹部は61%に達し、戦略と業務が整合していないと感じているリーダーは68%にのぼる。

組織To-Be像を描いた後に何が起こるのか。KPIと現場の役割が噛み合わない。組織設計と業務フローにズレが残る。変革の方向性が現場に浸透しない。これらの壁は、設計の精度を上げるだけでは解消されない。KPI・組織・業務の3軸を同時に整合させ、変革が現場に根付くまで伴走する存在が必要だ。

さらに、ハーバード・ビジネス・レビュー等の数々の調査によれば、策定された戦略が実際に(意図通りに)実行・達成されるのはわずか10%程度にとどまると言われている。また、マッキンゼー&カンパニーの調査でも、組織変革イニシアティブの成功率は30%に過ぎないと報告されており、戦略実行のギャップは規模や業種を問わない普遍的な組織課題である。

「実行できない」のは、意思や能力の問題ではない。経営の意図と現場の実態が噛み合っていない、構造の問題だ。多事業・多拠点であるほど、このズレは深刻化する傾向がある。

では、そのズレはどこで起きているのか。

実行を止めているのは、KPI・組織・業務「3軸のズレ」

クオンティアが経営企画・COO・CFOの相談を受ける中で繰り返し見えてくる構造がある。実行が止まる組織には、共通して3つの軸でズレが生じている。

01. KPI整合——現場のKPIが、企業戦略と整合していない

戦略・中計の方針が現場のKPIに落ちていない。部門・個人の行動が戦略と噛み合わず、施策は動いているのに中計が進まない。

02. 組織設計——組織が、戦略を動かせる形になっていない

重複・属人化・権限の曖昧さで機能配置が崩れている。誰が何を担うかが不明確なまま、戦略が組織を通じて動かない。

03. 業務効率——業務最適化が進まず、リソースが本来創出すべき価値に届いていない

過剰業務・非付加価値業務にリソースが張り付いたまま。現状の業務のままでは、創出したい付加価値が実現しにくい状況に陥りやすい。

この3軸が揃って初めて、「実行できる組織」に近づくと考えられる。1軸だけ直しても、他の2軸がズレていれば実行は止まりやすい傾向がある。そして従来のアプローチは、この3軸を同時に診て動かすことが難しかった。

従来アプローチが届かなかった理由

なぜ従来の組織再編やコンサルティング支援では、この3軸のズレが解消されにくかったのか。構造的な理由が3つある。

第一に、可視化に時間とコストを食われ、実行・定着まで手が回らない。数百名から数千名規模の現場へのヒアリングをコンサルタントが個別対応しようとすると、それだけで膨大な工数になる。本シリーズ第一回で整理したように、現場の実態把握は「実行フェーズに入ってから別途対応」となりやすく、トップダウン設計と現場実態の統合が後回しになり続けてきた。

第二に、サンプル調査では、実態の一部しか見えない。時間的・コスト的制約から、ヒアリング対象は一部の管理職に絞られることが多い。業務分掌のズレ、役割の重複、現場レベルの業務非効率——こうした実態は、サンプルからは見えにくい。

第三に、提言(レポート)で終わり、実行に届かない。KPI・組織・業務の3軸を整合させる再設計まで行っても、それを現場に根付かせる実行・定着フェーズまで関与するパートナーが不在になりやすい。大手コンサルティングファームは提言も実装もできるが、高額になる傾向がある。

「同じ予算・期間で、届く範囲が違う」——クオンティアはこの構造そのものを変えることを目指している。

AIヒアリングは何を変えたのか——そしてクオンティアの専門性がなぜ不可欠か

本多氏は、AIヒアリングが持つ情報収集力の差をこう語る。

「取れる情報量がアンケート比で5倍程度あります。目的駆動型でヒアリングするので、粒度が揃うんです」

アンケートでは届かない深掘り。通常の対面インタビューでは引き出しにくい「本音」。本多氏はこうも言う。

「AIだからこそ取れる情報もある。ポロッと出る本音がある」

対人ヒアリングでは、場の空気が回答を歪めることがある。AIに対してはその抑制が外れやすく、現場管理者が普段は言いにくい業務上の問題や役割のズレが率直に言語化されて出てくることがある。これはアンケートとも通常インタビューとも異なる、第三の情報収集手段と言えるだろう。

数百名から数千名規模の組織全体に対して、均質で粒度の揃ったヒアリングデータを、トップダウン設計と同時並行で取得できるようになる。可視化に食われていた時間とコストが圧縮され、その分を実行・定着フェーズに投下できる。

しかしここで重要なのは、AIヒアリングはあくまで「現状把握を高速化する手段」に過ぎないという点だ。本多氏はここを明確に言う。

「出てきたインサイトをどうまとめるべきかというのは、専門知識がまだまだいります」

「現状把握はまだ何も価値を生んでいません。To-Be像を構想する方に時間をかけるべきだと思っています」

取得されたデータから「何が問題の本質か」「どのTo-Be像が戦略に整合しているか」「KPI・組織・業務の3軸をどう同時に再設計するか」——この問いへの答えは、AIでは出せない。組織変革・業務改善・戦略実行を描くだけでなく、現場で泥臭く実行し、やり切ることを大切にしてきたクオンティアのコンサルタントの知見が、データを示唆へと変える。AIが解放した時間を、コンサルタントが最も価値を発揮できる構想と設計に集中投下できる。それがこのオファリングの核心だ。

なぜクオンティアとAstermindsの協業が機能するのか——分業の本質とSay-Doギャップへの挑戦

AstermindsのInTakeが取るデータと、クオンティアの解釈・重みづけという分業は、なぜ機能するのか。本多氏はこう語る。

「N数が少なくてもこれは重要であるという重みづけを経験からできます。AIが取得したデータに対するコンサルタントの後工程が、非常に重要だと考えています」

どの示唆に重みを置くかという判断が、組織変革の質に大きく影響する可能性がある。コンサルタントの経験知と組み合わさることで、データが変革のための示唆へと変わりうる。この役割分担に、二社が協業する理由があると言えるだろう。

一方で、ヒアリングで取れる情報は発言データであり、実際の行動・業務実態とは必ずしも一致しない。本多氏が「Say-Doギャップ」と呼ぶ、「言っていることとやっていることのズレ」だ。このギャップを埋めるための研究開発も、すでに進行中だ。「ドキュメントを見せながらのヒアリング、画面を共有してもらいながらのヒアリング、リアルタイムでのスコアリング。コンサルタントが実際にヒアリングする際の手法をAIに移植していく作業を進めています」

こうした技術的進化の方向性を踏まえた上で、本多氏はクオンティアをこう評価する。

「クオンティアはブティックファームとしてのタレントの個性が強い。個性ある、尖ったコンサルティングができることは大きな強みだと思っています。AIネイティブなコンサルティングのあり方を一緒に作っていきたいと思っています」

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3フェーズで、止まった実行を動かす——クオンティアが「やり切る」まで関与する理由

クオンティアの経営企画パートナーサービスは、診断→再設計→実行・定着の3フェーズで進む。どの痛点から入っても、この流れは変わらない。

多くのコンサルティングファームは、戦略の提言をもって役割を終える。クオンティアは違う。「ラストマンシップ」——現場に入り込み、成果が出るまで責任を持ってやり切る姿勢が、このサービスの根幹にある。

PHASE 01 診断——現場の実態を、効率的に把握する

必要に応じてAIヒアリングを活用し、KPI・組織・業務の3軸で現場の実態を可視化する。削減余地・省人化余地を数字で試算し、経営判断の材料にする。各分野の専門家とコンサルタントのペア体制で、コスパ・タイパを重視した迅速な診断を実現する。

成果物:実態データ/課題マップ/削減余地試算

PHASE 02 再設計——3軸を戦略に一致させる設計をする

診断で特定した軸に応じた設計を実施。現場データを根拠にすることで、合意形成にかかるコストを大幅に下げることが可能になる。KPIツリーを再設計して戦略→部門→個人のKPIを接続し、役割・権限・機能配置を戦略に合わせた組織To-Beに再設計し、業務フローを再設計して自動化計画まで立案する。

成果物:組織To-Be設計書/KPI再設計書/業務再設計書

PHASE 03 実行・定着——設計を現場に根付かせ、実績を出す

設計で終わらない、現場への実装。KPI・評価・目標運用の定着まで確認し、ズレが出たら即座に修正する。規程化・人事配置・属人化解消まで実装し、業務再設計をAIで自動化して工数削減を実績として示す。

成果物:動く組織/削減実績/定着したKPI運用

本多氏は、AIヒアリングを定常的に活用していくことで、将来的には経営の情報収集構造そのものが変わりうる可能性を示唆する。

「極端な話、ヒアリングを毎月やれば、超将来的には中間レイヤーがいらなくなることもあり得るのではないでしょうか。経営者が全部見れる状況も作れてしまう可能性があるかもしれません。要はこれをどういうふうに圧縮して報告するかみたいなことを考えていること自体が、実は無駄なんじゃないかとも思っています」

AIヒアリングを定常モニタリングに組み込んでいくことで、現場の実態が経営層により直接届く仕組みへと近づいていく可能性がある。

投じた資源が成果に変わる、「リーンで動く組織」へと変革すること——これがクオンティアの経営企画パートナーサービスが目指す最終成果だ。

AI時代のコンサルティングが変わる——現状整理型の代替と、ビジョン・仮説を作れる人間の価値

AIとの分業が本格化するなか、コンサルタントとしての価値はどう再定義されるのか。本多氏はこう語る。

「ビジョンや将来像に対する解像度を高く提示できる人、仮説を作れる人の価値が上がると思っています」

AIが大量データの収集・整理・集計を担うことで、コンサルタントは本来最も価値を発揮できる構想・設計・実行支援に集中できるようになる可能性がある。「こうなるのではないか」という将来像を描き、経営者と並走して意思決定を支える人材がいっそう必要とされる時代になっていくだろう。

AIとの協業によって付加価値の高い領域に集中できる環境が整う中で、コンサルタントが今まで現場で培った専門性やノウハウ、そして能力は、より際立つ可能性がある。

また、コンサルティングのあり方そのものも変化しつつある。プロダクトとセットで専門知見を提供する「プロダクトドリブンなコンサルティング」が増えていくと本多氏は見ている。InTakeとクオンティアの戦略セクターStrategy Edgeの協業は、まさにその先駆けと言えるだろう。顧客からは「どれだけAIで効率化しているか」という証明も求められるようになりつつある。プロダクトを持つことが、コンサルティングの価値の証明手段にもなりうる時代が来るかもしれない。

将来構想として、本多氏とクオンティアが共に描くのは「コンサルティングの民主化」だ。

「大手コンサルティングファームが大手エンタープライズにしか届いていない状態を、クオンティアとAIを活用してコストを下げつつ、インサイトの質は落とさない形で広げていけると、日本社会にとって大きな意味があると思っています」

現時点での最前線は大規模組織向けだが、その先に視野に収めているのは、戦略の恩恵がいまだ届いていない中堅・中小企業への展開だ。コンサルティングの価値を届けられる対象を広げること——それが、AI×コンサルティングが切り開こうとしている未来の一つの姿だ。

AI×コンサルティングが変えるのは、戦略と実行をより多くの企業に届けられる構造そのものであり、クオンティアとAstermindsが共に取り組むのは、まさにその現在進行形の挑戦でもある。

「知識の民主化」が完了した先でコンサルタントに残る価値と、クオンティアが選ばれ続ける理由とは。本インタビューをリードしたCSO 塚本のインタビュー記事はこちらで紹介しています。
▶︎コンサルタントは「戦友」だ——好奇心だけを羅針盤に歩んだキャリアの果てに見つけたCSOという役割 ― 塚本 貴映

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塚本 貴映

塚本 貴映

CSO

カナダの名門大学卒業後、医療機器メーカー、コンサルティングファーム、外資製薬メーカーを経て現職。戦略コンサルタントとして大企業からスタートアップまで幅広い事業開発を推進し、構想策定から開発・ローンチまで一気通貫で支援。多業界・多国籍プロジェクトのPM経験を活かし、経営課題の解決と新たな価値創出に強みを持つ。

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