Quontier(クオンティア)| 総合コンサルティングファーム

戦略セクター

創業者が築き上げた事業を仕組みに変え、次のステージへ。感覚経営からの脱却に戦略と実行で応えたクオンティアの伴走支援

創業者が築き上げた事業を仕組みに変え、次のステージへ。感覚経営からの脱却に戦略と実行で応えたクオンティアの伴走支援

お客様プロフィール

株式会社瀬戸水産

株式会社瀬戸水産

URL:https://www.setosuisan.com/

企業規模:従業員100名以上、売上数十億円規模

業種:水産業

大胆な意思決定と圧倒的な行動力で、一代にして築き上げられた水産会社。創業者の類まれなリーダーシップによって急成長を遂げてきた同社は今、事業を受け継ぐ次世代が、会社をどのように成長・拡大させていくかという問いに向き合っている。

これまでコンサルティングを活用してこなかった同社の変革に、事業を受け継ぐ次世代がクオンティアとともに臨んだ。本稿では、創業者が築いた強みを受け継ぎながら、属人的な経営を仕組みへと変え、新たな成長機会を見いだしていった戦略と実行のプロセスを紹介する。

創業者の実行力と嗅覚が築いた、首都圏でも数社に限られる加工体力と柔軟な対応力

同社を一代で築き上げたのは、素潜り出身という異色の経歴を持つ創業者である。「とにかくやってみる」という嗅覚経営を武器に拠点を広げ、サーモン加工が売上の9割を超える規模まで、事業をゼロから育て上げた。拠点から6時間を要する遠方の地に、長い年月をかけて2つの工場を構え、活魚事業からサーモン加工へと事業の軸足を大胆に転換してきた。こうしたリスクを恐れず意思決定し、実行に移す姿勢も、現在の同社の強さを形づくっている。

この圧倒的な実行力と嗅覚こそが、今の同社の揺るぎない土台となっている。量販店が求める納品量・リードタイムを約束通り実現できる加工体力に加え、工場のキャパシティ(製造できる量の上限)を超える依頼にもほぼ「イエス」で応える物量対応力・即日対応力を持ち、首都圏エリアでこの規模の対応が可能な水産会社は数社に限られるポジションを確立している。さらに、特定の魚種や市場に固執せずニーズの変化に対応してきた実績が、大手が参入しづらいニッチな市場ポジションを築いている。

一方、市場環境は、創業者が事業を築いてきた時代から大きく変わりつつある。創業一族の後継候補として、次男の瀬戸雄馬氏(以下、瀬戸氏)は、この事業をどう次のステージへ進めるかを真剣に見つめてきた。瀬戸氏が向き合ったのは、創業者が培った勘どころとパッション、「とにかくやってみる」という直観と情熱を保ちながら、それを定量的なデータや根拠に基づく戦略へどう磨き上げるかという問いだった。創業者の強さを否定するのではなく、その強さを組織が再現できる形に変えていく。属人化した意思決定を言語化し、方針や数値を仕組みとして残すことが、次のステージに進むための出発点になる。

では、この気づきに至った瀬戸氏は、どのようなキャリアを歩み、どのような価値観を持ってこの課題と向き合うことになったのか。

創業者が感覚経営で築いた成長と、それを仕組み化して受け継ぐ次世代

創業者が感覚経営で築いた成長と、それを仕組み化して受け継ぐ次世代

創業者の圧倒的な実行力と嗅覚によって、盤石な土台とニッチな市場ポジショニングを築いた同社。その方針やノウハウ、データは、創業者やそれを支えた社員たちの頭の中に留まっていた。

継続的な成長・拡大を次世代として率いるためには、従来のやり方をそのまま引き継ぐのではなく、会社経営を「科学する」ことが必要なのではないか。方針やナレッジを言語化し、事業の可能性を定量的に分析し、管理機能を整える。そうすることで、個人の経験や勘に支えられていた経営を、組織として再現できる経営へ変えていく。その必要性を、瀬戸氏は感じていた。

そう振り返る瀬戸氏だが、実は最初から瀬戸水産にいたわけではない。テレビ業界、外資系保険会社でのキャリアを経て2020年に家業へ参画した。一族経営と聞くと、最初から管理職やリーダー職を任されたと思われるかもしれないが、瀬戸氏は完全なたたき上げからのスタートだった。最初に配属されたのは工場の現場で、加工ラインでの実務からキャリアを始めている。

工場での実務を通じて瀬戸氏が気づいたのは、会社の強さを支える判断基準や工夫の多くが、創業者や熟練の社員個人の経験と勘に依存しているという事実だった。それらを言語化し、仕組みとして残していければ、より多くの人に引き継いでいける。この経験が、瀬戸氏を経営の言語化・仕組み化という課題に向き合わせる出発点になった。

創業者が築いたものを守るだけではなく、その土台の上に仕組みを積み重ね、事業をさらに「広げる」。それこそが、後継候補として瀬戸氏が担おうとしていた役割だった。

維持だけでは届かない目標に、次世代が向き合った課題

工場の現場から会社を見てきた瀬戸氏にとって、創業者が築いた事業の強さは明確だった。同時に、その強さを支える判断基準や工夫の多くが、創業者や熟練社員の経験と勘に依存していることも実感していた。同じやり方を続けるだけでは、継続的な拡大には限界がある。そこで、新規事業や海外展開に挑むだけでなく、判断の根拠を言語化し、計画として共有できる仕組みが必要だと考えるようになった。守りを固める常務の兄と、新規事業・海外展開を切り拓く瀬戸氏が役割を分担し、それぞれの立場から変革に向き合った。

その意思決定は今後5年、10年先の業績に直結し、そこで働く従業員の生活そのものに関わる。経営層が構想を描いても、それが言語化・共有されなければ従業員はついてこられず、経営層と現場の間にギャップが生まれる。

経営層の頭の中にある構想を、組織全体が理解し、動ける形へ変換する。そのギャップを埋めることこそが、経営に携わる立場としての大きな責任であり、プレッシャーでもあった。

経営判断を外部に委ねてこなかった創業者が、契約を決めた理由

瀬戸氏がクオンティアと出会い、支援を受けたいと考えるようになったのは、現場での経験を通じて感じていた課題感がきっかけだった。最初の接点は、クオンティアでStrategy Edge(SE:戦略セクター)のセクター長を務める綾恵太郎との出会いだった。会話を重ねる中で、瀬戸氏は自身が感じている状況を率直に話した。

  • 会社の方針が言語化されていない
  • 投資の意思決定プロセスが属人的になりがちだった
  • 目標の売上はあるが、どうすれば「届く」と確信が持てるのか具体がまだ見えない

綾は、これらを個別の課題として解決するのではなく、会社が進む方向と、そこへ至る実行の道筋を一体として整理する必要があると捉えた。そこで提案したのが、中期経営計画の策定支援だった。これが、契約に向けた最初の一歩となった。

中期経営計画の策定支援を外部に委託するには、瀬戸氏だけの判断では決められない。経営層、とりわけ、これまで経営判断や方針策定を外部に委託してこなかった創業者である父に、その必要性を理解してもらう必要があった。では、瀬戸氏はどのようにして、創業者の理解を得たのか。

創業者は、飲食店経営やシステム導入、設備投資など、事業拡大に向けてさまざまな挑戦を重ねてきた。ただし、そのすべてが期待した成果につながったわけではない。過去の経験を振り返り、瀬戸氏は「事業への投資だけでなく、経営戦略そのものに投資する視点を、より強く持ちたい」と考えていた。海外展開や新規事業を担う「攻め」の立場だからこそ、専門的な知見を外部から取り込む必要性を感じていたのである。瀬戸氏は、綾とともに必要な材料を整え、社内で積み上げてきた実績と自らの考えをもとに創業者へ直接説明した。その熱意と準備が、契約を動かす力となった。

これまで瀬戸氏が接してきたコンサルティング会社は、分析結果を資料にまとめて提示するスタイルが中心だった。一方、クオンティアは、業界構造や同社の現状を早い段階から具体的に捉え、対話を重ねるほど経営陣との認識の差を縮めていった。外部の会社でありながら、自社のことを深く理解しようとしている。その実感を持てたことが、創業者の納得を生み、契約を決める要因の一つとなった。

戦略で終わらせず、実行までやり切るために現場へ入り込んだ伴走

戦略で終わらせず、実行までやり切るために現場へ入り込んだ伴走

実際にプロジェクトの担当として現場に入ったのは、クオンティアSEセクターに所属する池口真一である。池口がまず着手したのは、組織全体を俯瞰することだった。

池口は、創業者や社員の経験と勘によって積み上げられてきた意思決定を、資料や会議だけで把握することは難しいと考えた。どのような情報をもとに、誰が、どのような判断をしているのか。現場に立ち会い、日々の意思決定を直接理解することが、実効性のある戦略につながるからである。

そのため池口は、現場へ深く入り込み、組織の実態を捉えることから支援を始めた。

戦略を描くだけでは、実行段階で現場の納得感が生まれないことがある。クオンティアの強みは、戦略を描いた後の実行フェーズまで現場に入り込み、ともにやり切ることにある。

同社の案件でも、プロジェクト開始当初から可能な限り現場に足を運んだ。その姿勢が信頼につながり、先方から「池口さんに毎日来てほしい」と声が上がった。翌月以降も現場に密着し、必要な対話を重ねながらプロジェクトを前に進めた。その徹底ぶりを、瀬戸氏は「フルコミットしてくれている」「コミット具合がすごい」と評している。

戦略を外から渡すのではなく、同じ現場に立ち、同じ課題に向き合いながら実行する。この距離の近さが、クオンティアの伴走支援の基盤となった。

対外環境分析から収益シミュレーションまで、経営陣とともに描く

池口が組織全体の俯瞰から始めたのは、社内の意思決定が創業者や社員個人の経験と勘に支えられており、社内の情報だけでは会社の立ち位置や成長余地を客観的に捉えにくかったためである。現場の実態を理解したうえで外部環境と照らし合わせることで、初めて伸ばすべき領域と目標との差分が明確になる。

そこで池口は、外部環境の分析と組織課題の整理を行い、さらなる事業拡大に向けた収益シミュレーションを実施した。5年後の収益見込みを描き、目標との間に数十億円規模のギャップがあることを可視化した。

クオンティアが分析を持ち帰り、結論だけを提示することもできた。しかし、それでは数字の根拠や前提が社内に残らず、実行段階で「自分たちの意思決定」として腹落ちしにくい。

そこでクオンティアが選んだのは、「答えを渡す」のではなく、「答えを導くプロセスをともにつくる」アプローチだった。数字だけを渡すのではなく、数字が導かれる過程を経営陣と共有した。経営陣と机を並べ、前提を一つずつ確認しながら経営アジェンダをともに描くことで、「言われたことを実行する」のではなく、「自分たちで決めて動く」ための当事者意識を醸成していった。

事業拡大に向けたギャップを埋めるうえで、新規事業や海外展開だけに賭ける選択肢もあり得る。しかし、同社ではサーモン加工という既存事業が売上の9割を占めていた。新たな挑戦が想定どおりに進まなければ、土台である本業にも影響が及びかねない。

だからこそ、新規事業という攻めの一手だけに賭けるのではなく、業務改革・DXによって既存事業の足元を固めながら、新規事業・海外展開という新たな成長機会を並行して追う方針を採った。社内の課題を約60項目に言語化・可視化して対策のPDCA(計画・実行・評価・改善)を回すほか、販売管理システムの導入を業務フローの見直しとセットで進めるなど、既存事業の底上げにも取り組んだ。

「既存事業を強くする」ことと「次の成長をつくる」ことを二者択一にせず、両輪で進める。その全体設計が、中期経営計画を実行可能なものへ変えていった。

不在だったマネージャー機能を、実務で動きながら埋めていく

クオンティアは、戦略を描くだけでなく、現場に不足していた機能を実務のなかで補う支援も行った。同社では、マネージャー機能が十分に整っていないという課題に対し、方針を具体的な行動に落とし込み、チームを束ね、要所となる社員と対話しながら現場を前に進めた。

「何を変えるか」を示すだけではなく、「どうプロジェクトに落とし込み、誰を巻き込み、どう前へ進めるか」まで担う。課題の抽出から構造化、実行までを一気通貫で推進することで、戦略を現場に定着させていった。

社内の空気を変え、組織全体を動かし始めた伴走力

こうしたクオンティアの伴走は、業務を前に進めるだけでなく、支援先の組織にも変化をもたらした。妥協なく向き合う姿勢は、社員から「歓迎会をやりましょう」という自発的な声が上がるほど、現場に受け入れられていった。

当初は状況を見守っていた社員や役員も、次第にプロジェクトへ参画するようになった。外部から持ち込まれた知見と実行力が、新しい意思決定や行動を生み、その変化が少しずつ組織全体へ広がっていった。

戦略を描くだけで終わらせず、現場に入り込み、実行・定着までともにやり切る

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クオンティアの提案が見出した、海外展開における現地のニーズ

クオンティアの提案が見出した、海外展開における現地のニーズ

さらなる事業拡大を目指すなか、既存事業であるサーモン加工の伸長だけでは埋めきれない数十億円規模の差分を、海外展開と新規事業でどう補うかという意思決定につながった。

「海外に出たい」という構想は、以前から同社にあった。しかし、誰の、どのような期待や課題に応えるための海外展開なのか。そこが十分に整理されないまま、検討は机上の調査にとどまっていた。クオンティアは、経営陣と現場それぞれの思い、課題感、期待値を棚卸しし、市場調査も含めて戦略として組み立て直した。漠然としていた「海外に出たい」という構想を、「どの市場で、どのニーズに対して、自社のどの強みを生かすのか」という判断と実行につながる戦略へ具体化した。ここに、コンサルティングを取り入れた本質的な価値があった。

その戦略を絵に描いた餅で終わらせなかった背景には、クオンティアの現場理解がある。綾はかつて、大手グローバル家電メーカーのアジア法人で経営に携わり、現地拠点を自ら回るなかで、実際に足を運ばなければ把握できない市場の実態を経験してきた。だからこそ、机上の調査だけで終わらせず、「まずはシンガポールに行き、実際のニーズを確認しましょう」と提案した。

綾の詳しい経歴については、綾恵太郎のインタビューページで紹介している。

「海外展開の可能性がある」という仮説が、現地のニーズという具体的な手応えに変わった。これは、現地に行かなければ把握できない情報の重要性を理解し、実行に移したからこそ得られた成果である。

以前に依頼した海外展開の調査は、机上の分析が中心で、期待した成果にはつながらなかったという。今回は、誰が、いつまでに、何を確認するのかを明確にし、チームで現地に赴いた。その結果、曖昧だった海外展開の可能性は、より確度の高い判断ができる段階まで前進した。サーモン以外の魚種展開についても、同様の考え方で検証が進められている。

創業者が築いた強みを受け継ぎ、会社をさらに成長させる後継経営者へ

同社の事例は、創業者が築いてきたものを土台にしながら、次のステージへ進む方法を模索する多くの後継経営者に通じる。目指すのは、現在の規模を大きく超える成長である。海外展開を通じて、水産業界が持たれがちな3K(危険・汚い・臭い)のイメージを変え、働きやすさを実現することも視野に入れている。守りを担う兄と、新規事業・海外展開を切り拓く瀬戸氏が役割を分担し、バランスを取りながら会社を動かす姿は、一人ですべてを背負うのではなく、それぞれの強みを生かしながら変革を進める次世代経営の一つの形といえる。

これまで経営判断や方針策定を外部に委託してこなかった創業者も、伴走支援の価値を実感していった。「自社の力だけで進められるなら、外部の力は必要ない。しかし、前進が難しい局面で外部人材を活用することは、経営戦略の一つである」という考え方は、同様の課題を持つ経営者にも参考になるだろう。

新たな挑戦では、着手前に撤退の判断基準を定めておくことが重要である。基準があれば、損失が拡大する前に継続・撤退を判断できる。だからこそ、「まずやってみて、手応えがなければ撤退する」という意思決定が機能する。

海外展開におけるPoCも、この考え方に基づく。PoCは、「成功か失敗か」を判定するだけのものではない。どこに可能性があり、何が成立しにくいのかを検証し、「何であれば勝ち筋になり得るのか」を具体化するための取り組みである。

着手前から完成形を求めるのではなく、検証を通じてより良い戦略に必要な調整材料を得る。この考え方は、変革への一歩を踏み出す経営者にとって、一つの指針となるだろう。

創業者の強みを受け継ぎ、属人化した経営を次の成長を支える仕組みへ

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構想から実行、定着まで伴走するクオンティアの支援

創業者が一代で築いた土台の上に、次世代が仕組みを積み重ね、事業を「広げて」いく。その過程で必要なのは、創業者のやり方を否定することではない。これまで成長を支えてきた強さを見極め、それを次の世代、次の組織でも再現できる形へ変えていくことである。社内だけで挑戦の全体像を整理することが難しい場合、外部の視点を取り入れることも有効である。経営課題を構造化し、戦略を描き、現場へ入り、その戦略が実行・定着するところまでやり切る。これは、クオンティアのStrategy Edgeセクターが大切にしている姿勢そのものである。

感覚や経験に支えられてきた経営を、次の成長を生み出す仕組みへ変えたい。中期経営計画を「つくること」で終わらせず、実行につなげたい。そのような課題を抱える企業は、Strategy Edgeセクターへご相談ください。

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池口 真一

池口 真一

シニアコンサルタント

インキュベーション事業およびメディア事業のPM/PMOを経て現職。経営企画、営業・マーケティング、組織・人事領域に精通し、中小企業支援の知見も有する。地方有力企業における『100億企業』プロジェクトでは戦略策定から実行支援まで一気通貫で対応し、新規事業開発や海外展開を推進。汎用性の高いプロジェクト/サービスマネジメント系の国際資格(PMP/ITIL)を有し、予測型から適応型まで様々なプロジェクトに対応。米国PMI認定PMP資格保有

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