起業経験を経てクオンティアで磨いた前に進めるドライブ力|Tech Ignition 萱谷 篤嗣

起業経験を経てクオンティアに入社した萱谷篤嗣は、少数精鋭ゆえの大きな裁量と濃密なフィードバックを武器に、わずか1年でクライアントからの厚い信頼を勝ち取った。
現在は事業会社で経営改革の中核を担いながら、クオンティアの卒業生コミュニティ「Quontier NEX」を通じて各メンバーとの繋がりも続けている。
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CIO・CTO・CDOの実装パートナーとして、AI・セキュリティ・ブロックチェーンなど先端技術を「現場で動く事業」へと変える、Tech Ignitionセクターの取り組みを紹介する。
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ドバイでの事業開発と起業を経てクオンティアにたどり着くまで
萱谷は、大学在学中に知人の紹介でブロックチェーン関連の会社と出会ったことをきっかけに、新卒でドバイに渡り、帰国後は起業まで経験するという、一般的なキャリアパスとは一線を画す歩みを見せてきた。
知人が経営する会社は、ブロックチェーン技術を用いた新しいサービスの開発を行っており、在学中から「うちに来ないか」と誘いを受けていたが、当時は日本国内の一スタートアップという認識で、深く検討することはなかった。就職活動では日系大手企業を中心に見つつ、コンサルティングファームのインターンにも参加していたが、なかなか進路を決めきれずにいた。
そうした中、知人の会社が法規制の変化を受けてドバイへの移転を決める。ちょうど進路に迷っていたタイミングで改めて誘いを受けた萱谷は「新卒の今だからこそ思い切れる」と考え、新卒でドバイに渡ることを決断する。
現地では、DEX(分散型取引所:中央管理者を介さずに暗号資産を交換できる取引所)関連のソリューション開発を手がけており、萱谷は朝から晩まで働く環境に身を置いた。しかし入社からわずか一ヶ月ほどで、組織が一変。突如として萱谷は誰からも教わることのないまま、資金調達や営業活動といったビジネス側の中核を単身で担うことになった。
新卒という立場でありながら現地のネットワークをゼロから開拓し、数万ドルの着金と海外ベンチャーキャピタルからの数十万ドルのソフトコミット(正式契約前の内諾)を実現した行動力は、後のクオンティアでの活躍にもつながる。
日本への帰国後、萱谷は「中途半端な挑戦のままでは終わらせられない」と考え、大学時代の親友とともに次の挑戦に踏み出す。ただし、前回の資金ショートを踏まえ、借入はしないという条件のもと、あくまで腕試しとして最小限の資金で始められる事業を模索した。
検討の結果、個人が継続的に料金を支払うサービスは希少で収益性が高いこと、また利用者自身がコンテンツを生み出す仕組みのため運営側の負担が少ないことから、マッチングアプリでの起業を選ぶ。開発経験はほとんどなかったが、当時登場したばかりの生成AIを活用しながら独学でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた。いわゆる「バイブコーディング(AIとの対話を通じてコードを生成しながら開発を進める手法)」の先駆けとして開発を進め、TikTokを主要な集客チャネルとして、リリースして1ヶ月で2,000ユーザーまで拡大させることに成功する。
しかし、その直後にTikTokの広告ポリシーが変更され、集客の要であった広告出稿ができなくなった。他の広告媒体では採算が合わず、事業の継続を断念することになる。
これらの経験を経た萱谷は「我流で進めてきた状態から抜け出し、ビジネスの基礎を体系立てて身につける必要がある」と感じていた。そこで、新卒時にインターンとして経験していたコンサルティングファームでの経験を足がかりに、コンサルティング業界への転職を決意する。ここから、萱谷とクオンティアとの接点が生まれることになる。
事業を本気で創ろうとする熱量にクオンティアを選んだ理由があった
転職活動にあたり、萱谷が定めていた軸は二つあった。
- ドバイ時代に培ったブロックチェーン領域の知見を活かせること
- 海外経験や起業経験を通じて磨いたフロンティア精神を評価してもらえること
この二つの軸に最も合致したのがクオンティアだった。
転職活動では、クオンティア以外にも「事業輩出」を掲げるコンサルティングブティックファーム(特定領域に特化したコンサルティングファーム)から内定を得ていた。しかし、実際にオフィスを見学する中で、萱谷は自分が求める「事業を本気で創る」という軸との相性を一社ずつ見極めていった。その過程で、掲げる理念と現場の熱量が一致していると感じられるかどうかが、萱谷にとって会社選びの重要な判断基準になっていた。
その基準に照らしたとき、最も強く手応えを感じたのがクオンティアだった。代表の吉沢耕太との面接を通じて、純粋に事業を作りたいという誠意と熱量が伝わってきたことが、萱谷にとって何よりも大きな決め手になったと言う。
クオンティアへ入社してから、最初はOfficeソフトの基本操作に慣れるところからのスタートだったが、この後の一年間で、萱谷は着実にビジネスパーソンとしての力を身につけていくことになる。
本気で事業を創りたい仲間に出会える
クオンティアの採用情報を見る →Tech Ignitionで金融ブロックチェーンから営業戦略まで幅広く任される裁量
クオンティア入社後の研修期間中、萱谷はOfficeソフトの操作に苦戦している自分に強い危機感を覚えたと言う。しかしその危機感を抱く間もなく、研修終了と同時に最初のプロジェクトへの配属が決まる。配属先はTech Ignitionセクターで、クオンティアの協業ファームの傘下で進む金融ブロックチェーンの案件を担当した。
このプロジェクトは、大手ブロックチェーン基盤企業を大元のクライアントとし、大手金融機関を対象に、ブロックチェーンを活用した企画立案からビジネスモデル構築、ディール推進までを担う営業戦略支援という位置づけの業務だった。パートナー、シニアマネージャー、シニアコンサルタントなどを含む7名体制の中で、萱谷はクオンティアから唯一参画するメンバーとして幅広い業務を任されることになった。
配属当初、萱谷が最初に提出した議事録は改善の余地の大きいものだった。基礎的なところで躓いた萱谷だったが、プロジェクトチームのリーダーや他のメンバーからの指摘を深く内省し、2回目の議事録以降では大きく挽回。そんな急成長と萱谷の真摯な姿に、周囲の評価も一変した。その後も週末や定時後も含めて、クライアント社内のシニア層にも指導を乞い、とにかく応え続けることで、萱谷は着実に実務を身につけていった。
クオンティア入社から半年間担当したこのプロジェクトにおいて、クライアント側の体制変更等をきっかけに担当マネージャーが担っていた業務を萱谷が引き継ぐまでに成長。任される裁量は徐々に拡大していた。プロジェクト終了時には、クライアントから「再び人手が必要になった際には声をかけたい」と伝えられたほか、ともにプロジェクトに参画していたシニアマネージャーからも「また一緒に働きたい。転職を考えることがあれば連絡してほしい」と言葉をもらうほど、周囲との信頼関係を築いていた。
少数精鋭ゆえに一人ひとりに幅広い業務が任されるクオンティアの環境が、半年という短期間での急成長を後押ししたことがうかがえる。
大手メーカー支援と社内AIプロジェクトで専門性を活かせた現場
在籍期間の後半となる半年間、萱谷はクオンティア代表の吉沢とペアを組む形で、二つのプロジェクトを担当することになった。一つは大手企業向けの案件、もう一つは大手総合メーカー向けのAI活用支援案件である。
大手総合メーカー向けの案件では、開発時代から培ってきたAIに関する知見を存分に発揮した。萱谷は提案の作成から発表まで一気通貫で任され、専門性を評価される機会を得ている。この経験について萱谷は「本当にいい経験だった」と振り返っており、現職で汎用的な営業資料の作成を任されているのも、この時期に培った提案力があってこそだと語る。
並行して社内では、営業管理システムが存在しないという課題が持ち上がっていた。萱谷はこの課題の解決を自ら買って出た。当時登場したばかりの仕様駆動開発(実装前に仕様を明確化し、それに基づいて開発を進める手法)の考え方を取り入れながら、独自にシステムを構築していく。
開発を進める中で、要件の抜け漏れは解消されたものの、今度はバグの発生という新たな課題に直面した。そこで萱谷はテストを先に用意し、それを満たす形で実装を進めるテスト駆動開発の要素を組み込み、フレームワークをさらに拡張していった。ちなみにクオンティア社内では、萱谷が独自に開発したこのフレームワークを萱谷の愛称「ニック」にちなんで「NickQ」と呼んでいたと言う。
この取り組みを目にした吉沢は「AIでここまでできるのか」とAIの可能性を再認識したとともに高く評価し、萱谷の卒業前となるラスト1、2ヶ月には、AIを活用した受託開発プロジェクトの牽引という新たな挑戦にもつながった。
濃いフィードバックで視座を引き上げてくれる育成環境
萱谷がクオンティアに入社してから身につけたのはビジネスパーソンとしてのスキル面だけではない。萱谷はエンジニアとしてキャリアをスタートしたため「入社したての頃は、エンジニアとしての癖からどうしても細部に目が行きがちで、物事を大局的に捉えることができていなかった」と本人は振り返る。
代表の吉沢や取締役の姚との会話を重ねる中で、「あなたはどうしたいのか」と問われ続けたことが成長のきっかけになったと萱谷は言う。「どうしたいのか」その問いを思考し、答えを探す体験から「大局的に見る力」を身につけていった。
萱谷自身、「劇的に何かが変わったというよりは、むしろ日々のフィードバックの積み重ねによって、少しずつ視座が上がっていった感覚に近い」と語る。
この経験は、現職でのマネジメントスタイルにも表れている。現在、部下を持つ立場となった萱谷は、「能力の範囲内で業務を振る」というスタイルではなく、「能力より少し高い水準の業務をアシストしながら任せる」というスタイルを意識的に実践している。
これは、クオンティア在籍時に自身が同様の形でコツコツと育てられた経験を、そのまま体現したものである。
やりたいことを本気で応援するクオンティアのカルチャー
クオンティアには、何かに本気で挑戦したいと言い出すメンバーが多く、それを本気で応援するカルチャーがある。これは偶然生まれた雰囲気ではない。クオンティアは経営人材の輩出を会社のミッションの一つとして掲げており、そのための制度や機会も用意している。少数精鋭だからこそ一人ひとりの挑戦に大きな裁量を与え、業務外の自主的な活動も歓迎する風土を意図的に育んできた。
萱谷が卒業するまでの間にも、その方針が体現された具体的な場面がいくつもある。プロジェクト業務と並行して、社内のビジネス研究会に参加し、事業をどう作るかについての議論やMVP(実用最小限の製品)の開発に取り組んでいた。
卒業前の最後の2ヶ月間は、当時登場したばかりのAIコーディングツールを社内に広める活動にも携わっている。神奈川県の小田原で実施された合宿では、休日を使ってメンバーにアプリ開発の手法を教えるなど、業務の枠を超えた活動にも積極的だった。
こうした経験を振り返り、萱谷は「クオンティアでは本気で何かをやりたいと言うと、本気で聞いてもらえる」と語る。やりたいと言えば「いいね」と受け止めてもらえ、実際に行動に移す人が多いことが、クオンティアという環境の大きな特徴だと言う。
この空気は、萱谷自身にとどまらず周囲にも波及している。当時の研究会で議論を共にした同僚の一人である古賀一成は起業に踏み出したが、その決断に最も影響を与えたのは萱谷だったと語っている。社員全員で挑戦を後押しする文化が、次の挑戦を生む連鎖になっている。
→Quontier NEX卒業生である「古賀一成」のインタビュー記事はこちら
やりたいことを、一緒に本気で考えてくれる社内文化
本気の挑戦を応援する環境で働く →経営人材への道を後押しする卒業という選択
クオンティアが掲げる二大ミッションの一つに、経営人材の輩出がある。これは在籍中の育成にとどまらず、卒業後も経営者として価値を還元し続ける連鎖を、会社の方針として意図的に設計していることを意味する。メンバーの卒業は、クオンティアにとって想定された「成長の一形態」なのである。
萱谷の卒業は、この方針が実際に体現された一例と言える。半導体関連メーカーの跡取りである友人からは、大学在学中から継続的に「うちに来てほしい」と誘いを受けていたが、萱谷はその都度「まだ早い」と返答し続けていた。
状況が変わったのは、その友人が会社の代替わりを迎えたタイミングだった。友人は当時、会社自体の在り方を見直し、将来的にも継続発展していける体制作りが必要だと感じていた。しかし、当時の社内には社内変革に割ける経営戦略の専門的知見やDX推進リソースに限界があった。萱谷への「来てくれ」という強い要望は、まさに事業会社の変革を担う中核の立場としての依頼だった。
これをきっかけに、萱谷はクオンティアからの卒業を決断する。クオンティアで培ってきた提案力やビジネスの基礎、そして物事を前に進める力を、経営に近い立場で発揮できる機会が、萱谷の目の前に用意されていた。
→経営人材を輩出する「Quontier NEX」の詳細を見る
デジタル戦略部部長として在籍中の経験が活きる現在の挑戦
現在、萱谷は半導体関連メーカーでデジタル戦略部長を務めている。デジタル戦略部長というポジションだが、実際に担っている業務はDX推進にとどまらない。これまで存在していなかった営業体制の構築や汎用的な営業資料の整備、社内基盤の整備、AIを活用した業務改革など、その業務範囲は多岐にわたる。
象徴的なのが、海外顧客との大型商談をめぐるエピソードだ。案件が行き詰まる中、社長から直接「どうにかしてほしい」と指示を受けた萱谷は、まずそれまでの経緯を確認し、状況を整理。顧客との合意形成に向けて論点を整理し、資料作成や打ち合わせを重ねるとともに、弁護士事務所と連携して契約書の作成まで進め、最終的に商談をクロージングまで導いた。
特定の領域に限定せず、会社が抱える課題を捉え、必要な関係者を巻き込みながら解決まで前に進める。クオンティアで培った推進力を生かしながら、現在は社長の右腕として経営に近い立場で変革を担っている。
なお、先に記載した通り、クオンティアを卒業した萱谷は今もクオンティアと関わり続けている。事業会社に軸足を移した今、今度は事業会社の環境で得た経験も踏まえ、クオンティアメンバーの起業や事業開発に携わっている。
コンサルティングの推進力と事業を作る当事者性の両方を鍛えるクオンティアの環境
クオンティアは、コンサルティングで培う物事を前に進める推進力と、事業を自分ごととして進める当事者性の両方を、意図的に鍛える環境を用意している。この環境の良さを、萱谷は事業会社に出てから改めて実感したと言う。
事業会社では、コンサルティングファームのように整理された環境とは異なり、周囲が思うように動かないことも少なくない。象徴的だったのが、担当者間の役割分担が曖昧なまま案件が停滞していた場面だ。こういった場面において、萱谷はメンバー間の間に入り、バランスを取りながらプロジェクトを前進させたという。
こういった経験を通じて萱谷は、コンサルティング経験だけを持つ人材が事業会社に来ても「合理だけを言う」形となり機能しないと感じた。しかし、逆に推進力だけを持つ人材が来ても、それだけでは組織が混乱してしまうだろう。「大事なのはバランスだ」という考えに至ったと言う。変革を担う人材には、その両方を兼ね備えることが不可欠だと萱谷は感じている。
自身が部下に「仕事を振る」のではなく「育てる」というマネジメントスタイルを実践しているのも、この設計思想の延長線上にある。クオンティアで受け取ってきたものを、萱谷は今、次の世代へと引き継ごうとしている。
卒業後もつながり続けるQuontier NEX
萱谷はクオンティア卒業後も、当時の同僚と月に一度のペースで顔を合わせていると言う。若手メンバーの会に呼ばれたり、事業開発関連の活動に誘われたりと、卒業後も関係は途切れることなく続いている。
事業会社でDX・経営に携わる立場だからこそ持てる視点を活かし、萱谷は在籍時に構築した仕組みを活用しながら、クオンティアのDXの仕組み化や事業開発、メンバーのキャリア相談等を外部から支援している。互いに与え合う関係が、卒業後も続いているのである。この循環を支えているのが、クオンティアの卒業生が学び合い、支え合うアルムナイ組織「Quontier NEX」だ。
最後に、大手ファームなどで次のキャリアを模索している優秀な若手に向けて、萱谷はこう言葉を残している。
「やりたいことをやりたいと言える環境が、結局一番良い。自分の努力だけでなく、周囲の環境との掛け算で結果は決まる。挑戦したいと言ったときに、一緒に本気で考えて後押ししてくれる環境に身を置くことが重要だ。クオンティアにはその環境が整っている」
萱谷にとって卒業はゴールではなく、次の起点だった。クオンティアで磨いた前に進めるドライブ力は、今も事業会社の現場で発揮され続けている。